むっちゃんのハナシ
『それ蒔苗忠次郎ってス人の珈琲茶碗ダョ!』
僕は帰省すると母方の祖父母の家に帰る。
あれは2017年の夏。
『バッチャさメェ珈琲っコ飲ませるがな〜』
と張り切った僕。
まずはコーヒーを注ぐカップが重要だという話になり、
僕が生まれた頃から既にそこにあった戸棚の中を物色した。
(昔っから見たことのある湯呑み)
(スプーンとピンセットが一体型になった祖父のアイテム)
(技工士だった祖父が過去に作った、さんま師匠も驚く程の出っ歯型入れ歯)
(なんだか無駄にモダンなグラス)
(茶封筒)
ろくなものが無いなと毎度思うこの戸棚(食器棚兼用)
僕『あれ?バッチャ!このカップなに!』
婆『あれぇ!珍しじゃ!ンだ、これちょんど良い!』
取り出したそれは凛としてして、自慢気な色合いをしていた。
とても今の今まで眠っていたものとは思えない
そんな陶器だった。